３宇宙飛行士を起用ルイ・ヴィトン
アポロ１１号の月面着陸４０周年を迎える今年、ルイ・ヴィトンは同社の広告キャンペーンにバズ・オルドリン氏、ジム・ラヴェル氏、サリー・ライド氏の３人の宇宙飛行士を起用した旅行カバン専門店として起業した同社は、キャンペーンの中で魅力的な人物とともに「旅」を描き出しており、０７年にはミハイル・ゴルバチョフ氏を起用するなど常に話題を作り出してきた今回は、３人の宇宙飛行士を通じて、「月への飛行、宇宙への旅」に対してオマージュを捧げているまた、キャンペーンビジュアルは、著名な写真家アニー・リボヴィッツ氏によってカリフォルニア砂漠で撮影された。澄み渡った夜空のもとで撮影され、３人が特別な思いをはせながら宇宙を見上げるような様子が描かれているアポロ計画は米ソの宇宙進出競争が激化する中、１９６１年のケネディ大統領演説から本格化した。６８年１０月に７号が初めて有人飛行に成功、６９年７月、１１号が人類初の月着陸を成し遂げた。事故で着陸を断念した１３号を除いて１７号まで６回、計１２人の宇宙飛行士が月面に足跡を残したバズ・オルドリン氏は６３年に宇宙飛行士に選ばれ、６６年ジェミニ１２号に搭乗、船外活動などを行う。ニール・アームストロング船長、マイケル・コリンズ飛行士とともにアポロ１１号の搭乗員に選ばれ、アームストロング船長に続いて月面に降り立ったオルドリン氏：はしごの一番下の段まで下りて３フィートちょっと跳び下りたのですが、そのとき「この一歩がどんなに大きい意味を持つか考えるべきだ」と気づいたのです。ニールはすでに月面を歩き回っていたので、「わりと簡単そうだね！」と言って、ジャンプをしたのですが、失敗しました。きちんと立つことができなかったのです。私の宇宙服の写真をよく見ると、両足のすねの部分が汚れていることがわかります――当時の短い交信の中で「美しい」という表現を使ったと思うのですが、実際に自分が目にしたものに「美しい」という印象はありませんでした。私の心に浮かんできたのは、対照的な言葉で、壮大な荒涼たる世界とでも言いましょうか美しいとは言い難い、超自然的な世界でした。暗黒の空、大きく弧を描く地平線、輝く太陽、遙か彼方の地球…我々が持ち込んだもの以外はすべて、灰色をしていました,ラスティハーツ RMT。もっともカラフルで愛国心に訴えるものは、アメリカの国旗である星条旗の赤、白、青だったというわけなのです１９７０年、アポロ１３号が南太平洋の海上に着水、乗り組んでいたジム・ラヴェル船長ら３人の飛行士が奇跡の生還をとげた。人類にとって３回目の月面着陸を目指してケネディ宇宙センターから打ち上げられた１３号は、地球から月へ向かう途中で液体酸素が詰まったタンクが爆発。飛行士たちは、酸素や水の不足や寒さに苦しみながら、トラブル発生から８７時間を経て戻った。地上ではのべ２万人が動員され、救出作戦が展開された。その生還劇はトム・ハンクス主演の「アポロ１３」で映画化されたラヴェル氏：私にとっては４回目のミッションであり、アポロに搭乗したのも２回目で、とてもリラックスしていた時に爆発が起きたのです。我々は最初、何が起きたのかわかりませんでした。酸素の流出がわかったとき、深刻な事態であることを実感したのです最初に思ったことは、突然のトラブルに襲われたとき、ほとんどの人が感じることだと思いますが、「なぜ私が？」という思いでした。そして、このお決まりのパターンを抜けると、不意に「さて…」と思うのです「仕事に取り掛からねば！」と思いました,LunatiaPlus rmt。このときようやく、地上と協力しながら、何をしなければならないのかを考え始めたのです。それからの４日間、我々は二酸化炭素中毒に気をつけながら、正しい軌道上に戻り、地球に帰還するための推進装置として月着陸船を利用しました。こうして大気圏突入を迎えたのです――宇宙関連の仕事からも遠ざかり、随分昔のことに思えますが、ひとつ私が変わったことといえば、もはや危機的な状況に関して不安を感じることがなくなったことです。事故を克服して古き良き「母なる地球」に戻って振り返って考えれば、母艦に着艦を果たした海軍の飛行士のようだったと言うことができます。今でも危機的な状況は発生するのですが、その場合は問題にひとつずつ対処するようにしていますサリー・ライド氏は１９５１年生まれ。スタンフォード大学で物理学博士号を取得。８３年、アメリカ初の女性宇宙飛行士として、スペースシャトル・チャレンジャー（ＳＴＳ－７）で宇宙へ飛び立った。この時の「気分は（ディズニーランドの）Ｅチケットよ」という第一声で全米の人気者に。８４年には２度目のスペースシャトル飛行を体験した。８７年のチャレンジャー爆発事故では、大統領調査委員会のメンバーとして原因究明、再発防止対策の提言に加わったライド氏：女性第１号になることはそれほど意識していませんでした。私はとにかく宇宙に行きたかったんです。宇宙飛行士になって宇宙に飛び出すために、本当に多くの試練を乗り越えることが必要でした。宇宙飛行士という仕事は、自分のそれまでのキャリアとはかけ離れていたのです。宇宙飛行士に応募する前は、軽飛行機を飛ばしたことさえなかったのです宇宙飛行士のトレーニングや準備では、自分が行うとは考えもしなかったことをする羽目になりました。飛行機で飛んだり、自身を危険な状況にさらしたり…。リスクを冒してもいいのか、自分のしたいことは何で、したくないことは何なのか、深く考えるようになりました。こうしたプロセスは本当に自分に変化をもたらし、自分自身をずっとよく知ることができるようになりました――人生観についての最大の変化はおそらく、宇宙に行くことで得た、大局観にあります。宇宙から地球を眺めて感じる大局観については、お二人のどちらも何度も語っていらっしゃいますが、浮かんで窓に近づいてゆき外を眺め、そこに映し出される地球という惑星を見ることができたのは、私に間違いなく大きな影響をもたらしたのです。
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